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#697 世界は広い

  • 執筆者の写真: RE/MAX GOOD.
    RE/MAX GOOD.
  • 3月15日
  • 読了時間: 2分

こんにちは、RE/MAX GOOD.の佐藤です。


私はもともと、長く建設業の世界に身を置いてきました。「職人」という生き方は、ある意味でとても誠実で、明確な世界です。

釘を一本打てば、そこには確実に止まったという手応えがある。 木を削れば、削った分だけ形が変わり、理想の輪郭が見えてくる。 自分のアクションに対して、必ず「確実な反応」が返ってくる世界。そこには、自分の技術が積み重なっていく確信がありました。


しかし、不動産業という「営業」の世界に飛び込んでから、それまで経験したことのない壁にぶつかりました。

どれだけ時間をかけて役所や現地を調査し、資料を作り、お客様の人生の先々まで想いを馳せた提案をしても。 「やっぱり今はやめておきます」 「家族の気が変わりました」 そんな、自分の腕や努力ではどうにもならない理由で、何百時間という積み重ねが一瞬にしてゼロになることがあります。

この「手応えのなさ」。


職人気質の私にとって、それは単なる「失注」ではなく、自分の存在意義そのものを否定されたような、やり場のない気持ちになることもありました。

私は、自分の仕事を「おせっかい不動産」と呼んでいます。 目の前のお客様のために、一生ものの家具を作るような感覚で、丁寧に、誠実に、お引渡し後の暮らしまでサポートしたい。


でも、実際には残酷なほどドライな時もあります。 「70点の物件でいいから、とにかく早く決めたい」 「安ければ、後のことは適当でいい」

そんな、自分の美学とは正反対のニーズに直面したとき、「自分の仕事は理解されていないのではないか」と、心が激しく削られていくのを感じることもありました。

動けば動くほど、自分をすり減らしてしまう感覚。 「効率的に、数字だけを追いかければ楽になれるのか?」という悪魔のささやきが聞こえることもあります。


それでも、私は職人であることを捨てきれません。 非効率だと言われても、お客様が気づかないような細部にまでこだわり、先回りして不安を摘み取る。その「おせっかい」をやめたら、それはもう私である必要がなくなってしまうから。

今は、この「美学」と「現実」の折り合いをつけるための、長い修行の真っ最中なのだと思っています。

手応えがなくて、心が折れそうな日もあります。 でも、だからこそ、私のこの「泥臭いこだわり」を必要としてくれるお客様に出会えたときの喜びは、職人時代に味わったものより、もっと深く、温かいものになると信じています。

今日も、報われるかわからない「おせっかい」を。

 
 
 

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