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#774 基礎に潜む「小さなサビ」

執筆者の写真: RE/MAX GOOD.
RE/MAX GOOD.
6月1日
読了時間: 4分

おはようございます。RE/MAX GOOD.の佐藤です。

中古住宅の物件確認で建物のまわりをぐるっと歩いているとき、基礎のコンクリートにポツンとついた「小さな茶色いシミ」を見かけることがあります。

「築年数が経っているから、多少の汚れはあるよね」「これくらい小さなシミなら、建物の強度には関係ないだろう」

多くの方は、そうやって見過ごしてしまうかもしれません。しかし、20年間現場で実際に家を造り、コンクリートを扱ってきた元職人の目線から言うと、これは「ただの汚れ」としてスルーしてはいけない、非常に重要なサインです。


今回は、この基礎の表面に現れる「小さなサビ」の正体と、それが引き起こすかもしれない将来のリスクについて、少し専門的におせっかいな解説をしてみたいと思います。

基礎のシミの正体は、工事中に使われた「金属パーツ」です。基礎のコンクリートのちょうど横一線の隙間(打ち継ぎ部分)から茶色いサビが滲み出ている場合、それはコンクリートを流し込むときに型枠がバラバラに広がらないようにガッチリと固定するための「セパレーター」と呼ばれる工事用の金属金具です。

通常、この金具はコンクリートが固まったあとに端っこをパキッと折り、その上からセメントと砂を混ぜた「モルタル」を塗って綺麗に表面を仕上げることで、外気や雨水に触れないようにガードします。しかし、中には意図的に、あるいはコスト削減や工程の都合で、この「基礎のモルタル仕上げ」をしていない建物があります。すると、本来なら中に隠れているはずの工事用金具が外に露出したままになってしまい、雨風にさらされてサビてしまうのです。


「見た目が少し悪いだけでしょ?」と思われるかもしれませんが、これを放置しておくことには、家を長持ちさせる上で大きなリスクが3つあります。

1つ目は、コンクリートを内側から破壊する「爆裂現象」です。金属はサビると、元の大きさよりも何倍にも膨張するという性質を持っています。コンクリートの内部で金具がどんどんサビて膨らんでいくと、その圧倒的な圧力に耐えきれなくなって、まわりのコンクリートを内側からバリバリと引き裂き、破裂させてしまいます。

2つ目は、床下への「水の侵入経路」になってしまうことです。サビた金具がボロボロになって崩れていくと、そこには当然、外から床下へと繋がる目に見えない微細な隙間が生まれます。雨が降るたびに、その隙間をつたって基礎の内部や床下へとじわじわと水が侵入するリスクが高まり、床下の湿気は白蟻やカビの大きな原因になります。


3つ目は、基礎の命である「内部の鉄筋」へサビが伝染することです。これが一番恐ろしいリスクです。外壁の金具から始まったサビと、そこから侵入した水分が、コンクリートの奥深くにある「本当に建物を支えている重要な鉄筋」にまで到達してしまうことがあります。もし内部の鉄筋までサビて強度が落ちてしまえば、家全体の耐震性そのものを大きく揺るがす事態になりかねません。

もしモルタル仕上げがされていれば、こうしたサビのリスクを未然に防ぐことができます。しかし、すでに中古住宅として建っている以上、過去の工事の手順を変えることはできません。大切なのは、気づいてしまったリスクに対して「面倒だから」「話がややこしくなるから」と目を背けるのではなく、プロとして、そしてこれからそこに住むお客様のために、今できる最善の対策を打つことです。


この状態を見つけたら、まずはこれ以上サビが進行しないように適切な防錆(サビ止め)処理を行い、隙間を専用の補修材でしっかりと埋め、上からモルタル等で綺麗に仕上げてコーティングし直す。ただそれだけの丁寧なメンテナンスをしてあげるだけで、この先10年、20年と、家は驚くほど長持ちしてくれます。


図面やパンフレットの数字だけを器用に眺めていても、こうした「足元の小さなSOS」には気づけません。これからも元職人ならではの泥臭い視点で、現場のリアルなリスクも、その解決策も、すべて包み隠さずお客様にお伝えしていきたいと思います。

 
 
 

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